あえて小難しい言葉でいうならば、
この曲が「ラップ」なる音楽的指向の
市井における嚆矢であることに関して是非に及ばず、
といえる。
難しい言葉にすることには、自己満足以外の意味がないので、
解るように砕けた言い方をすると、
やっぱ、どーあがいても、そこいらのオッちゃんやオバちゃんに、
「ラップ」って呼び名と雰囲気をわからせた、という一点において、
この曲が決定的な役目を果たした、というのはもうまぎれもない事実であって
疑いようがない。賛否両論は不要ということ。
もちろんそれまでも、
『あんたのおなまえ何ァんてェの』(トニー谷/1964年/試聴はこの先から)、
『ドリフの早口ことば』(ザ・ドリフターズ/1981年/試聴はこの先から)
『スシ食いねェ!』(シブガキ隊/1986年/試聴はこの先から)
『ないものねだりのI Want You』(C-C-B/1986年/ by )
のように、ラップを意識したもの、しないものを含めて、
ラップ風の寸劇のような楽曲は存在した。
もっと古いものでいうと、能や狂言の謡も同じ分類に含まれるだろう。
だけど今聴くと、あれ、『DA.YO.NE』って、
ラップというより、ラップ風の寸劇だな、という認識に陥ってしまう
ラップっぽくないのは、リズムに乗ることよりも
普通の会話であることを優先させているからだろう。
たぶん、だからウケた。
この文章の出だしのように、何言っているのかよくわからない、
気取った感じのものじゃなくて
「♪えー、わたし車酔うからヤダなー」「だよねー」
このありがちな日常会話がウケたんだ。
そして何より、たたみかけるような肯定の言葉の嵐。
その言葉の裏にあるものが、諦念や自虐だったとしても、
だよね。そうだよね。と繰り返す言葉はチャラチャラしていても
実に心強い。
これが、例えば
「マジで?」「かもね?」「あっそぅ」「知っとるわ!」「ほっといて」
なんて歌詞の意味合い通りの言葉だったり、
「違うよー」「そんなことないよー」「しょうがないよー」という否定の言葉だったとしたら
ここまでヒットしなかっただろう。
そしてこのあとに次々と登場した、
『SO.YA.NA』(今田耕司・東野幸治・武内由紀子)に代表される
各地の方言を使った替え歌も、
当然のように、各地の言葉で肯定の言葉を並び立てる。
果てには中国語のみならず、なぜかインドネシア語まで収録した
コンピレーションCD*1まで出る始末。
- アーティスト: オムニバス,WEST END×YUKI(from O.P.D.),NORTH END×AYUMI,NORTH EAST×MAI,CHUBU END×SATOMI,OYSTER END×YUKA,SOUTH END×YUKA,FAX,SUZY×THE IND’ BOYS,カラオケ
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1995/09/01
- メディア: CD
- クリック: 19回
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ブレーンストーミング*2の先取りみたいなもんで
雑多なシチュエーションをドンドン掲げていって
言葉の上だけではあるが否定をしない。
そんな前向きな歌が、世間を席巻した、ひとつの出来事であった。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
ラッパー
ラップを演る人のこと。
そもそも「ラップ」というのが雑多な物音全般を指すものであり、
ポルターガイストなんかで出てくる「ラップ音」と同じ語源なのだ。
つまるところ、深い意味のない、単なるおしゃべりを、
ひとつの音楽ジャンルとしてとらえた人たちの総称ということになる。
じゃあ、なぜ「♪俺ってラッパーちゃんだから やっぱ都内の抜け道完璧じゃん」
なのか、根拠がまったくもって不明。
テキトーなことぬかすのがラッパーだとでもいうのだろうか。
当時六本木にあったクラブだかディスコの名称らしい。
CLEO PALAZZI。
元は人名だよね。たぶん。クレオ・パトラと同じかんじの。
現在入手可能な収録CD/視聴可能
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※該当曲を聴ける保証はありません。