ジ・アルフィー。
そのスタイルからして、変なバンドとしか言いようがない。
なんといっても、「事実上」のメインボーカルが一番目立たないではないか。
3人並んだ向かって左端で、サングラスの向こうに照れ屋の瞳を押し隠して、
おとなしそうにチョコンとしている。
そんなボーカルが左端にいて、派手な目立ちたがりのギタリストが右端にいて、
一番パッとしない雰囲気だけどよく喋る男が真ん中にいるという図式。
「事実上」と、あえてカッコ書きしたのは、
3人ともそれぞれメインボーカルを張っている曲があって、
桜井賢、坂崎幸之助、高見沢俊彦、メンバーそれぞれのボーカルにおいて
オリコン1位のヒット曲を持っている*1、というややこしいバンドでもあるからだ。
そんなバンド、ほかにはそうそう思い当たらない。
海外にまで目を向ければ、ビートルズのように
多寡の差こそあれ、メンバー4人全員がボーカルを取りヒット曲を飛ばし、
解散後も各々がチャート1位を複数獲得している化け物バンドがあるのは確かだが、
日本国内に目を向けてみると、アルフィーのほかは、
スパイダース*2やかぐや姫*3、X-JAPAN*4あたりが次点になるくらいだろうか。
出頭人を2人まで出したバンドは結構あるんだけどね。3人以上だとそんなもんだろう。
それはともかく、表題曲をはじめ、『メリーアン』(1983年/ by
)
『希望の鐘が鳴る朝に』(1999年/ by
)など、
アルフィーといえば・・・、という楽曲でメインボーカルを張っている桜井こそが
事実上のアリスのメインボーカルといって差し支えないと思われる。
それなのに、真ん中にいないってどうよ。違和感ありあり。
アルフィーはコーラスグループでもあり、みんなが同時にマイクに向かって歌っているので、
遠目に見たら、誰がメインで歌っているのかわからないじゃないか!
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山木秀夫による、ドロドロドロドロとこぼれ落ちそうな
ドラムが印象的なイントロからはじまるのは、
男ってバカだね、と思えるような男に都合のいい世界。
「♪サヨナラはただ一度の過ちなのか
たとえ500マイル離れてても 夜が来てまた心は求め合うのさ」
自分で突き放しておいて、彼女はまだ俺に未練があるはずだ、と妄信する。
距離の数字はあくまで比喩だろうが、心も体もそんなに離れてしまっているのに、
「♪Baby, Come Back!」
と自信満々に叫んじゃっているのが何とも痛々しい。
別れた原因はというと、それはおそらく2番の歌詞にある。
「♪カシオペアを見上げ夢を語る、あの時の君の瞳忘れはしない」
夢を追って、遠い街へ旅立っちゃったようだね。その彼女は。
そのとき、主人公が取ることが出来た選択肢は、大きく分けて3つ。
1.いつまでも信じて待つ
【ドリカム『LAT.43°N』(1989年/ by
)型】
2.一緒に夢を追いかける
【岡千秋・都はるみ『浪花恋しぐれ』(1983年/ by
)型】
3.二人の未来のために別れる
【尾崎紀世彦『また逢う日まで』(1971年/ by
)型】
主人公は、おそらく二人で話し合って3.の結論を出したようだが、
早くも挫折した模様。夜が淋しくてしょうがない。
「あの街」と言っているところを見ると、彼女の居場所はおおよそ分かっているのだろう。
そんなに未練があるのなら、自分から今からでも追いかけて行けばいいものを。
「♪Baby, Come Back!」って繰り返してないでさ。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
500マイル
500マイルは、だいたい東京から広島までの道のり。
直線距離であれば、下関くらいまでいけるかな。
そんな具体的な距離は知らなくても、星空の下のディスタンス、なので、
地球の裏側的な離れ方ではないことがわかる。
レジスタンス
反抗心や、反逆者、反対運動の意味。
どちらかというと、ちっぽけな反抗ではなく、組織だった反体制派的な意味合いが強い。
じゃあ、「愛のレジスタンス」ってなんじゃ、という話になるが
愛のために、法を犯してでも戦う者、的な意味になる。
何とも大げさだな。
行動を起こすのは自分ではなく、彼女側に期待しているのがミソ。
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