日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『北ウイング』 中森明菜 ~ 鳴り響く不協和音は、破局の予感か

サビでは、力強く。

そしてそれ以外の部分では、囁くように。

 

 

遠い町に行ってしまう恋人に、

一緒に来て欲しいと言われたものの、一度は断ったのだろう。

しかし後悔と未練は募るばかりで断ち切れない。

すべてを捨てて、かつての恋人のもとへと旅立つ。

 

中森明菜の変幻自在のボーカルに歌われる

大まかな筋はそんな内容だが、

要所要所がルー化*1しているために要点がつかみにくい。

 

北ウイング
シングルジャケット/amazonより
北ウイング

北ウイング

 
  • 作詞 康珍化、作曲・編曲 林哲司
  • 1984年(昭和59年)1月1日、ワーナー・パイオニアより発売
  • オリコン最高位2位(年間9位/1984年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:北ウイング 中森明菜 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:北ウイング - Wikipedia
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    しかし、その点を日本語化してしまえば、意外と暗喩もなくシンプル。

    ついでに、抽象的な日本語もすべて意訳して再構築してみよう。

     

     

    不思議なのは愛。私を惹き寄せる。

    愛は不思議ね。不思議な力で惹き寄せる。

     

    映画の一場面のように、

    なにもかも捨て去って飛行機に飛び乗る。

    北発着場から、今夜ひとり彼のもとに旅立つ。

     

    一度はあきらめた男性。

    あの涙で断ち切って、忘れたつもりだった。

    それなのに、私は飛行機に飛び乗ってしまった。

    街の明かりがだんだんと遠く小さくなっていく。

     

    夢のように嘘みたいな行動。

    深夜の飛行機であなたを追いかけている。

    愛は不思議ね。海を渡っている私。

    不安がないわけじゃない。

     

    日付が変わるころには、

    昨日までの苦悩は嘘のように晴れていた。

    この雲の下に、あなたの住む霧の街があるのね。

     

    しまい込んでいた恋を揺り起こし、見知らぬ地へ。

    まだ現実感がない、夜間飛行。

    不思議なのは愛。言葉なんていらない。

    なにも告げずにいきなり現れて、あなたの胸に飛び込む。

    それが私の答えよ。

     

    不思議なのは愛。あなたは私を惹き寄せる。

    愛は不思議ね。不思議な力で惹き寄せる。

     

    不思議なのは愛。二人は恋の魔法にかかっている。

    永遠の不思議。心の奥底から私はあなたを抱きしめる。

     

     

    果たして結末は、いかに?

     

     

    結末に関して以前から気になっていた部分がある。

    間奏中に突然掻き鳴るピアノの音。

    「♪それが返事よ」

    の後に続く間奏の最後に現れる。

     

    鍵盤の上に何かを落としてしまったかのような

    あえて字で書くのであれば

    グゥァラガシャーン、というような響きの音。

     

    演奏を失敗したにしては大胆すぎるので、

    何らかの意図で入れられたものと思う。

     

    ひょっとして

    破局を暗示している音、、、なのだろうか?

     

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    この曲、どういうわけか

    謡曲扱いされて敬遠されることが多い。

    おそらくはストリングスが目立っているせいだと思う。

     

    同じスコア*2シンセサイザー

    あるいはブラスアンサンブルでやっていたら

    おそらくポップ、ロックの枠組みで

    語られたんじゃないかと思う。

     

    どういうわけか、今も昔も歌謡曲

    非常に軽んじられる傾向にあるので、

    なんか損な役回りしているよな、この曲は、と思う。

     

    しかし、そんな思いとは裏腹に、

    謡曲は終焉に向かう長い時を迎え、

    いよいよ待ちに待ったロック・バンドの時代に突入してゆく。

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    「北ウイング」

    成田空港の発着ロビー。北南にあるうちの北の方。

    この歌で一躍有名になった。

    というか、この曲で存在を知った人の方が多いのでは。

     

    「霧の街」

    ロンドンだという説が根強いが、もしかしたら釧路かもしれない。

    釧路よろしく。釧路のそこかしこで時折見かけるしょうもない回文*3

     

    全文訳したせいで、今回も書くことがないな。

     

     

    ちなみに、ヒット曲に時折あることだが、

    この曲は続編が作成されている。

     

    『ドラマティック・エアポート』(1984年/試聴/停止 byiTunesからダウンロード)

    という曲がある。ご丁寧に副題は「北ウイング partII」。

    余計な副題をつけなきゃいいのにと思う。

     

    女が男を追いかけるのではなく、

    去っていった男が飛行機で帰って来るのを迎えに行く女の話。

    どうやら直接的な話の続きというわけではないようだ。

     

     

    現在入手可能な収録CD/視聴可能
    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
    ▼ 中森明菜
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    ※該当曲を聴ける保証はありません。(ていうか、ライブやる可能性あるのかなぁ?)

     

     

     

    脚注

    *1:英語になっているの意味。最近ルー大柴、またしても見なくなったな

    *2:楽譜のこと。ゲームの点数ではない

    *3:上から読んでも下から読んでも同じになる言葉。竹藪焼けた。ダンスが済んだ。鶏と小鳥とワニ。上から読んでも山本山、下から読んだら、まやともまや。