ドコを切り取っても、純度100パーセント、
混じりっけナシのロックンロール。
そりゃあもう、『完全無欠のロックンローラー』(1981年/アラジン/ by)
なんか、まるっきりメじゃないほど完全無欠なロックンロール。
チャック・ベリーやリトル・リチャードを彷彿とさせる、
「ロック」誕生以前の1950年代そのものの、ザ・ロックンロールで、
どこかで絶対聴いたことがあるはずなのに、未だかつて聴いたことがない。
きっと何か元歌があるに違いない、と思わせる既視感全開なのに、
ちっとも元ネタが何なのかわからない。*1
きっと、いろんなロックンロールのイイトコどりなんだろう。
以前見たテレビ番組で ーたぶん「アッコにおまかせ!」だったと思うがー、
いちコーナーのジングル*2に「♪貸した金返せよ!」の部分が使われたことがあった。
司会の和田アキ子が、コーナーの内容そっちのけでこのフレーズに食いつき、
「これ、誰のうた?」「♪貸した金返せよ~か」「やるなぁウルフルズ」などと
完全にそっちに意識が飛んでしまい、
コーナーを進行したい峰竜太*3に小声で怒られていたことがあった。
さすが“R&Bの女王”和田アキ子の名はダテじゃない。
司会業よりもこの印象的なロックンロールのテイストに
心を奪われてしまったようだ。
それにしてもこの洗練された音は何なのだろう。
ロックンロールそのものなのに、自分の知っているロックンロールとは違う。
ギターやベースのリフ、ドラム廻しなんか、定石通りで真新しさなんかないのに。
昔から少し疑問だった。
ひょっとすると、ステレオのスタジオ録音のせいだろうか。
昔のモノラル音源のレコードや、雑多な感じのライブ音源とはまた違って
ひとつひとつの音が非常にクリアで、それが新鮮さを感じるのかもしれない。
気取らない日本語でロックを書かせたら右に出るものはいない、
そんなトータス松本節*4は、この頃からすでに顕著で、
韻を踏んでいる、というよりはもはや連想ゲームやダジャレに近く、
「♪お前は キリなし、文無し、宿なし、ナシ付けた女 数限り無し」
ってな感じでまくしたてるのが、実に小気味いい。
ところでところで、この威勢のいいセリフは、
果たして本人に面と向かって言っているのだろうか。
引っかかるのが
「♪あいつは借金大王 同情してたら損する」
「♪ムカつくあいつを嫌いになれないどーすりゃいいんだ」
”借金大王”の彼を指す代名詞に、「お前」のほかに
「こいつ」ではなく「あいつ」が使われていることだ。
ひょっとしてこの主人公、胸の中で威勢よく毒づいているだけで
面と向かって言ってねぇんじゃないの?
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
エンガチョ
一説に、漢字で書くと「縁が著」。縁が著しく疎遠になること。まあ絶縁のことさね。
トンヅラ
一説に、漢字で書くと「遁面」。遁走する、面逃る(面駆る?)の合成語。
まぁ、逃げて姿を隠すことさね。
話付けた女
口説き落とした女、もしくは説き伏せて振った女。浮世を流したってことさあね。
ツバつける
人にとられないように、あらかじめ用心して手をつけておくこと。
食い物を人にとられないように、あらかじめベロっと舐めておいて、
誰も食べようとしないようマーキングしておくこと、、、ではなく、
「眉唾」という言葉があるのと同じで、1種のマジナイみたいなのもの。
化かされたり騙されたりしないために、用心の意味で
つばを塗って魔よけとする風習から来ているものと思われる。
桑畑には雷が落ちない、という迷信から怖いものがあらわれたときに
「クワバラ、クワバラ」と唱えるのに似ている。
現在入手可能な収録CD/視聴可能
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