「♪コォぉぉぉべぇ~~~~」
最初聴いた時は、冗談なのかと思った。
いや、今でもこの出だしは冗談なんじゃないかと思っている。
テンション高めのイントロを受けた、
肩透かしのように意表を突くこの歌いだしから始まり、
息つぐ間もなく曲が高揚感を増していき、ついには昇天一歩手前に差し掛かったところで、
またもや「♪コォぉぉぉべぇ~~~~」とかまされる。
(ここはズッコケた方がいいのかしらん?)
それにしても終始異様なテンションだ。
といっても、むやみに騒々しいのとはワケが違う。
本来の文字通りの緊張感を内に秘め、
前川清のうわずったボーカルが、
歪みかけのギターが、
小気味いいタメを利かせるトランペット群が、
やばいくらいに静かに互いに高めあいながら、
時に肩透かしを食わせつつも、けれども緊張感を失わず、
最後には、放り出されるのように音が途絶える*1。
ああ!このふつふつと押し上げられた、やり場のない高揚感を、
いったいどこに吐き出せばいいんだろう!
まさに全編クライマックス。緊張感が半端ない。
そしてそれ以上に、絶頂に達しそうで達しない高揚感が、
もどかしいこと限りない。
捨てられ、傷ついた恋に、
たかだか、ひとつの恋が終わっただけ、と自分に言い聞かせ、
さぁ、次の恋だ、と気丈に振舞おうとする。
今度こそは、最期まで自分を想ってくれるーそれがたとえ虚構であってもー
そんな、居もしない人を求めるむなしさを歌っている。
主人公は、若いのか年嵩なのか、
女なのか男なのか*2
自分を捨てた相手を追って、神戸にたどり着いた。
そこで我に返る。自分は何やっているんだと。
はるばるきたぜ神戸!
と歌い切るのではなく、
おそるおそる、「♪こ~べ~」と歌うのは
つまりはそういうことなのかもしれない。
恨み節ではなく、少なくとも言葉の上では
希望を前面に出した歌であることが、哀しい中の救いだろう。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
全文日本語訳行ってみよう。
不倫の唄説も根強いようだが、不必要にドラマチックな設定にするのは好まないため、
そんな前提は用いないことにする。
泣いて何が変わるっていうのだろう。
捨てられた自分が、もっと可哀そうになるだけじゃない。
船の灯りが映る、神戸港の真っ黒な海。
よどんだ水面に、ヒールの折れた靴を投げ捨ててやった。
たかが、ひとつの恋が終わっただけじゃない。
すぐに、違う恋が始まるに決まっているじゃない。
今度は、いつまでも自分を幻滅させない、
そんな人を見つけてやるんだから。
あの人を追いかけて、神戸まで来てしまったけれど、
私が会いに来たからって、
戻ってくれる人じゃないってことは、解ってる。
心の傷がさらに深くなるだけだってことも。
せっかく神戸まで来たけど、やっぱり会いに行くのはやめた。
足元に、けなげに咲く名もない花を見つけた。
ぐりぐりと踏み潰してやった。ざまあみろ。
たかが、ひとつの恋が終わっただけじゃない。
すぐに、違う恋が始まるに決まっているじゃない。
今度は、「ふり」でもいいから、自分を裏切らない人を、
そんな人を見つけてやるんだから。
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