日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『appears』 浜崎あゆみ ~ ぜいたくな悩みだよね。本人は深刻なんだろうけども

曲の終盤にあらわれる、しつこいぐらいの念押しが
主人公の今の心のありようを物語っている。
「♪まるで全てが そう、まるで何もかも全てが 全てのことが」
メロディーの進行を捻じ曲げてまで、
しつこく、しつこく、しつこく、しつこく。

「♪うまくいっている かのように 見えるよね」

三者の視点のように言っているけど、
ここでいう「恋人たち」はもちろん主人公とその彼氏のことだろう。

当たり前のこととして日常に発生する波風は、当然あるものの
ほんとうに順調に日々を重ねて行っているハズなのに、付きまとう不安。
順調な日々だと思っているのは、実は自分だけなのかも。と、
考えれば考えるほどに、不安のスパイラルに陥って行く。

幸せそうに見えるよね?
大丈夫そうだよね?
幸せそうだよね?


はじめのうちは「♪二人しかわからない」といっていたのに
最後になると不安に負けて「♪誰にもわからない」というところまで落ちてしまう。


イントロの、洞窟の中をさまよっているようなサウンド
浜崎の泣きそうな鼻にかかった歌声が
余計に終わりのない底なし沼感を演出(?)している。


appears シングルジャケット/amazonより
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  • 作詞 浜崎あゆみ、作曲 菊池一仁、編曲 佐藤あつし
  • 1999年(平成11年)11月10日、エイベックスより発売
  • オリコン最高位2位(年間81位/1999年)
  • 歌詞はうたまっぷへ:appears 浜崎あゆみ 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:appears - Wikipedia
  • (30万枚限定のシングル売り上げが、31万枚と書いてある*1のがなんとも微笑ましい。書いててギモンに思わなかったのか?)



    だけど、
    だけどだよ?

    はたから見て、どうみてもこの二人って幸せだよね。
    幸せだからこそ、その幸せを失うことが怖くてしょうがない。

    神田川』(かぐや姫/1973年/ by)と一緒。
    「♪ただ あなたのやさしさが 怖かった」
    こんなにも優しくされているのは、実は何か裏があるんじゃないか。
    そういう、ひねくれた意味ではもちろんない。

    そして、『ら・ら・ら』(大黒摩季/1995年/ by)と似た
    シチュエーションながら、もっとラブラブ期のお話。
     「♪人の心 裏の裏は ただの表だったりして」
    裏か表か、表か裏か。なんて変な勘ぐりに至らない、お幸せな時期のお話。


    「♪今年の冬は二人して 見れるかな、過ごせるかな、言えるかな」
    うわぁもう、幸せ妄想いっぱいじゃないですか。

    見ようによってはものすごく贅沢な不安。
    真冬にコタツでアイスを食べながら、糖分の摂り過ぎを憂いているに近い。


    当人は不安で押しつぶされそうになっていようが、
    ひとはこれをノロケという。


    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    同時代の、宇多田ヒカルの楽曲についてもいえることだけど
    浜崎の歌って、アレンジと歌唱が卑怯だよね。
    いえ決して悪い意味ではなく*2

    決して表題曲のことを言うわけではないのだけども、
    ぱっとしない楽曲でさえ、アレンジや歌唱のテクニックで
    ヒットソングに押し上げてしまう。

    だから正直悩むのよ。どの曲を採り上げたらよいのか。
    20世紀の浜崎あゆみの曲で一番売れたのは
    『Seasons』(2000年/ by)らしいんだけど
    それが一番かといえば、今ひとつピンと来ないというか。
    売れた曲といい曲が合致しないというのではなく、
    どれも同じような高めの水準を保っているせいで、突出したものがなく、
    あとは聴き手の好みとその時々の心境や、置かれている状況によってしまうのだ。

    そんなわけで結果的に自分の最も好みの歌を選ばせていただいた。悪しからず。

    こういうのも「ぜいたくな悩み」、なんだろうけど、
    まとめて聴くとメリハリがないとつまらなく感じてしまうのは
    自分がひねくれているせいなんだろうな。



    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

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    日本語で、~のように見える。の意。まんまですね。
    まんまだけど、歌詞に1回も登場しないからタイトルと歌が全然結びつかない。
    「恋人たちはとても幸せそうに」の歌、といった方が通りが良いのが困りモノ。


    それでも去年は離れていたよ
    ここの部分が非常に難解。
    前の歌詞が「白く輝く雪がとても大好きで」なので、
    文脈からすると、「大好きだけれど離れていた」のは「雪」になる。
    去年は雪を見に行けなかったけど、今年は二人で行こうね!
    なんていう無理解釈はできなくもないが、全体の流れからするとあまりにも唐突過ぎる。

    離れていたのはやはり彼氏だろう。
    理由は不明だが、去年は一緒に過ごせなかったクリスマスを
    今年は過ごしたいと願う一文であることは間違いない。


    薬指に光った指輪
    「恋人たち」なので、薬指の指環の意味するのが「結婚指輪」でないことは確か。
    かなりピュアな付き合い方をしているように見受けられるので、
    結婚指輪をしている同士の指輪→不倫の恋ということでもないだろう。

    普通に考えて婚約指輪か。これは現実の指輪と考える必要はなく、
    愛の誓いを「薬指の指輪」に例えていると考えてもよい。

    お互い、何度も愛の約束を破ろうかと思ってきた。
    これはそのたびに乗り越えてきたことの証明である。

    ひょっとしてひょっとすると、マリッジブルーの歌なのか?この歌は?



    現在入手可能な音源

    【オリジナルアルバム】
    LOVEppears / appears -20th Anniversary Edition-(CD3枚組)

    LOVEppears / appears -20th Anniversary Edition-(CD3枚組)


    【ベストアルバム】


    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット

    ※該当曲を聴ける保証はありません。


    脚注

    *1:【30万枚限定のシングル売り上げが、31万枚と書いてある】その後さすがにだれかが訂正したらしく、29.1万枚に修正されている。

    *2:【悪い意味ではなく】悪い意味ではないけれど、こういうのって悪意のある書き方だよな。