ラルクこと、L'Arc~en~Cielというバンドの存在自体は
結構早い段階から認識していた。
というのも、うちの弟が地元ミュージシャンの黒夢*1とセット(?)で
インディーズのアルバムCDやビデオを所持していたためだが、
それらのジャケットの退廃的な雰囲気のせいだろうと思う
バンドや楽曲自体に興味を持つことはなかった。
その後、バンドがメジャーになっても個人的にはさほど興味を持つことはなく
─もっとも、ラルクに限らず歌い手自体に関心を持つことがほとんどないのだが─
過ごしてきた。
そしてどういうわけか、ラルクの曲はどれを聴いても、
「♪真白な時は風にさらわれて・・・」と始まっても
(『Winter Fall』(1998年/ by
)
(正確にはこれは始まり部分ではない。『HONEY』(1998年/


あれ、いつ「♪ネオユーニバ~」と歌うんだろう
(『Neo Universe』(2000年/


と思っているうちに曲が終わり、
ああ別の曲だったのかと認識する始末。
こんな自分がラルクの曲を語るのを許してたぼれ。
さて赦しを賜ったところで、『花葬』である。
そんな自分ですら、ラルクの中で特別の曲として認識できる曲だ。
ラルクに限らず、ほかのどんな曲と比べても
かなり特徴的で特異な楽曲になっている。
タイトル然り、メロディーライン然り、歌詞然り。
個人的にはそれほど好みではないが、
ぐいぐい言わせるベースラインなども特筆すべきだ。
そして、全体を占めるテーマは、死。
個人的には、死とは空虚そのものであり
そこに何の意味も、ましてや美などは到底見い出せないのだが、
「武士道といふは 死ぬことと見つけたり」(葉隠聞書より)
なんていう、特にここだけ抜き出すと限りなく馬鹿げた思想が
当たり前のように受け入れられる素地が、日本にはあるらしい。
このように、死に美意識を見出すのは、特に東洋独特の死生観のようだ。
そうでなければ、こんな退廃的な歌詞を持つ歌が
ミリオンセラーになるはずがない。
だって、「♪瞳あけたまま 腐食してゆく身体」だよ?
尋常な情景ではない。 ホラーかよ。
共感できる余地は存在しないが、かといって見知らぬ世界という気はしない。
そんなせいなのかどうかは知らないが、この曲、どこか「和」っぽいと感じる。
それとも、こんなものに「和」を感じるのは、自分だけだろうか?
歌詞に英語が使われていないという理由ではないと思う。
なんせ、なんて歌っているのかよく聞き取れないんだから。
先に挙げた歌詞の部分なんか
「♪不足していくからだ」(「からだ」は「体」ではなく、理由の断定ね。
つまりは「足りない為だ」と歌っていると思っていた)
だと思っていたくらいだから。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
前項の続きで、この曲のどこら辺が「和」っぽいか、
解析、説明しようとして、やっぱり行き詰った。
なんとなくとしか言いようがないのだ。
そんな中ふと気づいたのだが、この曲
どことなく能や狂言の謡の節回しに似てやしないか。
その気になって聴いてみると
のたうような発声、地声と高い声の行き来や幻想的な場面、
「Ah..haw」なんて叫びの部分までも、それっぽく聞こえてくるんだけど。
「狂い咲いた夜に・・・」なんて
能っぽく歌ってみれば、実にそれっぽいじゃないか?
誰かやってみない?謡のみなさまがた。
・・・思い込みが過ぎるだろうか。
だいたい、能や狂言を実際に見たのって、ずいぶん前に一度きりあるだけだし。
思考が変なところに迷い込んでしまったようだ。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
表題曲は、どうも全体的に雰囲気だけで構成している印象なので
個別の語句を取り上げてもしょうがない感じだ。
全文日本語訳、行ってみよう
目の前で彼女が、狂銃か何かの犠牲になった。
あるいは、彼女を自分が殺めてしまった。
後者のほうがイカレてて合っているかな?
実際何が起こったか知らないが、そんな物語。
紅の花びらがみだれ散るように、血が滴たっている。
わずかな月明りだけが、永遠だったはずの恋の残骸を、
いつまでも照らしている。
僕は生きているのに 僕の体も崩れ落ちて行く気分だ。
彼女は一瞬にして失われた。僕の心だけを置き去りにして。
恋の実りを待つこともなく。
愛しい君は、腕の中で冷たくなっている。
そんな現実が腕の中にあるのに、まるで夢の出来事のようだ。
いつものように 、僕に呼びかけてくれるんじゃないかと
思ってしまう。あぁ。
気が狂うほどの夜。魂はのたうち、眠れるはずがない。
闇夜に浮かぶ君の安らかな顔だけが、せめてもの慰めなのだろうか。
突然迎えてしまった終焉。
それさえも、僕の人生のひとつの岐路に過ぎないのだろうか。
生が失われた結果、約束も無に帰した。
僕の世界はいまここに終わった。
花びらが舞い散るように、彼女は無残に逝った。
紅色の雫が滴たり落ちる。
わずかな月明りだけが、永遠だったはずの二人の恋の残骸を、
いつまでも照らしている。
今夜の出来事、それが本当に起こったことなのか、
夢なのか、現実なのか区別がつかなかった。
そして目を閉じ、あらためて現実だと悟った。ああ。
狂気が舞い降りた夜。僕の魂はのたうち、眠らせてくれない。
わずかな月光に照らされる野の花が、せめてもの餞になるだろうか。
無残に散った君の血液がしたたり落ちる。
月の光よ、わずかでもいい、永遠だったはずの二人の恋を照らしてくれ。
悪夢が狂い咲いた夜に。
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