日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『月光』 鬼束ちひろ ~ 陽の光をわずかに映し、地上をかすかに照らす存在

やべぇ。出だしから歌詞をすごい勘違いしてた。
「♪ I am the last child」(私は最後の子ども)だとばかり思っていたのに、
正しくは「♪ I am God's child」(私は神の子)だったらしい。

どっちにしてもえらく大層で印象的な歌い出しであることに違いはないけど、
滅び行く世界にたった一人生まれた、最後の絶望、
というようなテーマで書き進めようと思っていた出鼻を
思いっ切り挫かれてしまった。

モノを語るときは、ちゃんと下調べしてから構想を練らないといけないね。
「自由をもっと」だと思ってたら「理由をもっと」だったし。
耳鼻科通いが必要かもしれぬ。
それはそうと、さてと困った。どうやって話を続けていこう。



とりあえず曲を聴いていて感じるのは、大いに人の気配を感じるサウンドだということ。
鬼束の盛大な吐息のような歌声にもそれが表れているけれど、
一番それを感じるのは、シンプルな楽器構成による、一発録りな感じ*1がすること。
要するに少人数によるライブっぽいのだ。

聴いた感じ、ジョン・レノンの『イマジン』(1971年/ by )を彷彿とさせる
前奏(7拍和音を打って、しっぽのようなオマケがつくフレーズ)で始まるピアノをメインに、
機械音ではなく本物の3~4本のストリングス*2、それにタンバリンだけの構成ではないだろうか。
時々聞こえるドラムとも何とも言えないタップ音は、
タンバリンの人が膝でもたたいているのだろう。

ここで個人的に気になるのが、前奏からそこかしこで聞こえる
「キュッ」「キュッ」という、何かがきしむような音。
ギターのフレットノイズ*3にも聞こえるが、
そもそもギター自体が参加している気配がないので、これは何の音だろう。

板張りの床を体育館シューズで走っているような音なので、
おそらく、ライブ感を出すために、器楽隊のほかにダンサーがいるのだろう。
見えないけど。
(んなアホな!←時々冗談を真に受ける人がいるので一応ツッコミを入れておく)

シングルジャケット/駿河屋より
月光

月光

 
  • 作詞・作曲 鬼束ちひろ、編曲 羽毛田丈史
  • 2000年(平成12年)8月9日、東芝EMIより発売
  • オリコン最高位11位(年間71位/2000年)
  • 歌詞はうたまっぷへ: 月光 鬼束ちひろ 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい: 月光 (鬼束ちひろの曲) - Wikipedia

  • くだらないことを言っているうちに、物語のイメージ(妄想)が膨らんできたので
    この難解な歌詞の全文日本語訳(日本語を日本語訳する冒涜作業)にいってみよう。

    わたしは神の子。この腐りきった世界に遣わされた。
    こんな場所で、わたしは何をどうすればいいのだろう。
    このどうしようもない世界を救えというのだろうか。
    わたしはもっと崇高な使命をもって生まれてきたのではなかったのか。

    耐えがたい逆風のような境遇の中で、運命という名の呪縛が、
    わたしに使命を投げ出すことを許そうとしない。

    父なる神への信心を持ち続けたままに、
    神の残したわずかな手掛かりのような、感覚的な理念や、教えの数々を、
    わたしはいまだ理解し、整理することが出来ずにいる。


    わたしは神の子。この腐った世界に堕とされてしまった。
    こんな場所でわたしはどうすればいいのだろう。
    わたしはもっと崇高な使命をもって生まれてきたはずなのに。

    わたしの存在する理由を、もっと示してほしい。
    わたしが納得して安心できるように。
    毒にも薬にもならない、何の役にも立たない戒律ばかりが目について
    教えも乞えないまま、一体何を信じればいいのだろう。

    私は神の子。
    哀しみが背後から忍び寄り、わたしを引きずり堕とそうとする。
    わたしはこんな世界に喜びを見い出すことなんてできない。
    こんな思いのままじゃ、私の居場所なんてこの世界のどこにも見つけられない。

    不愉快なほどに、わたしに冷たく当たる試練の数々。
    次は何を、壁を乗り越えられない言い訳にしようか。

    わたしを、この世界を見限ったりしないで。
    神ならば、そんなわたしにも救いの手を差し伸べて。
    この虚無のような世界から。
    時がたつほど、耐えられなさが増してしまうから。

    わたしは神の子。けがれた世界に産み落とされてしまった。
    こんな場所でわたしはどうやって生きればいいのだろう。
    わたしは崇高な使命をもって生まれてきたはずなのに。

    私は神の子。
    哀しみが背後からわたしを引きずり堕とそうとする。
    わたしはこんな世界を彷徨うことなんてできない。
    こんな思いをかかえてまで、私の居場所なんてこの世界のどこにもない。

    こんな世界で、わたしはどうやって生きて行けばいいのだろう?


    ん~。ずいぶん正統派な解釈になってしまったなぁ。

    もっと愉快な設定を加えて歪んだ解釈が出来れば、
    例えば狂信者的立場の物語と解釈すれば面白くなった可能性もあるんだけど、
    そもそも面白く解釈する必要は、どこにもないんだよなぁ。



    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    月光

    何故に月光というタイトルがついているか。
    無理矢理解釈するに、
    自分は神(太陽)の光を、わずかに反射する存在である、
    ということなんじゃないかと思うのだが、どうだろう。


    突風に埋もれる足取り

    思いがけぬ災いにかき消された、これまでの行い
    くらいの意味だろう。

    これも歌詞見る前は「遠くに埋もれる足取り」だと思っていたんだよなぁ。


    現在入手可能な音源

    【オリジナルアルバム】
    インソムニア

    インソムニア

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    ※該当曲を聴ける保証はありません。




    脚注

    *1:【一発録りな感じ】重ね録りなどの編集をせず、通しの演奏をそのまま録音した感じ(あくまで個人的に感じているだけで、実際なところは知らない。)。後半、ボーカルがこだまのようになる部分があるが、オーバーダビングではなくミックス時の疑似エコーのように聞こえる

    *2:【弦】クラシック系の弦楽器のこと。バイオリン、ビオラ、チェロの三重奏か、もしくは四重奏(バイオリンが2人体制)だと思う。

    *3:【フレットノイズ】ギターの弦を指で押さえたときにこすれて鳴る雑音