先に謝っておく。
たぶんいろいろ失礼なこと言ってしまうから。
ごめんなさい。本当にごめんなさい。
村下孝蔵。
かねてより、絶対名前で損してるよな、と思っていた。
なんだか民謡歌手のようなイメージを蜂起させるお名前で、
こんな青春ど真ん中、という楽曲からは遠くかけ離れたような気がしてしょうがない。
まぁ、あくまでイメージだけなんだけどね。
それが今回この稿を書くにあたり、初めてご本人の尊顔を拝見し、
ああ、名前だけでなく容姿でも損をしていたんだねと
大変失礼なことに思いを巡らすに至る。本当にごめんなさい。*1
70年代の小椋桂にしても、90年代の槇原敬之にしても、
似たような傾向はあるものの、
少なくとも彼らは名前で損しているようには見えない。
プロモーションの観点から、芸名にするという選択肢はあっただろうに、
本名で通した事には、ちょっとした意地とプライドが見え隠れする。
作品の完成度で勝負、というこだわりがあったのだろう。
しかし、タイトル、歌手名、ジャケット写真だけを見たときに
レコードをジャケ買い*2しようとは思わない。
これを損と言わずして何と言おう。
発売後少したってからにせよ、シングルのジャケットを、
本人の横顔のジャケットからきり絵の女の子に差し替えたのは
正解だと思う。
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ところが、そんなちょっと損している男たち(大失礼)が生み出す、
恋心と、ささやかだからこそリアルが詰まった歌詞、
美しいメロディ、それを奏でるなんとも爽やかな歌声は
皮肉にも、自分たちのように色恋の青春から縁遠かったような人間にも
大いなる共感を与えてくれる。
いや、これはカッコつけて言い過ぎだ。
ざっくばらんに言うと、
優男が歌った恋の歌じゃ、共感できないんだよ!
別世界過ぎてさ!
名曲・聴きドコロ★マニアックス
こんなところで自分の初恋をさらけ出そうなんて思わないけど、
正直言ってしまうと、さらけ出せるようなエピソードなんて何ひとつない。
だって本当に何も起こらなかったんだから。
この、初恋、という歌も、そんなところをうかがわせる。
「♪放課後の校庭を走る君がいた 遠くで僕はいつでも君を探してた」
二人の接点はこれで終了。
後は悶々と、自分一人の胸の内だけが
抽象的ともいえる語句で綴られていく。
だって、エピソードなんて、、ないよねえ、初恋に関して。
ある?
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
五月雨
5月の雨と書くが、季節は5月の出来事じゃない。
旧暦の5月を指す言葉なので、だいたいひと月遅れの6月の出来事。
つまりは五月雨とは梅雨のことを指す。
梅雨の終わりごろの激しい雨と違い、
降ったりやんだりとはっきりしない天気。
さみだれ式、とか、さみだれ撃ち、なんていう言葉も、
本来は、途切れ途切れでダラダラと続くものの例えだったはずなんだけど、
最近は間髪入れない連続したもの、
という間違ったイメージが広がってしまっている気がする。
「振子細工」
おそらくこのような名前の工芸品は存在しない。
いわゆるヤジロベエのようなものを想定しているのだろう。
振子→左右にフラフラと揺れ動く細工→繊細で壊れやすいもの
ということで、
少年のガラスのハートを象徴した造語なんだろうと思われる。
「浅い夢」
淡い夢、儚い夢、などと同義だろうか。
いろはうたの「あさきゆめみし」から来ている言葉と思われる。
はっきりしない、ぼんやりとした記憶だからこそ、
たとえば優しい、悲しい、暖かい、のような抽象的なイメージとして記憶されてしまい、
具体的に思い出すことができない代わりに、
感情の一部として自分の中に巣くってしまっているのだろう。
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