日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『東京キッド』 美空ひばり ~ その音質は時代の音なのか

「♪右のポッケにゃ夢がある、左のポッケにゃチューインガム」

 

映画を見たことはなくても、

ズボンのポケットに手を突っ込んで歌う子役時代の美空ひばり

映像とひっくるめてこの曲を記憶している人が多いのではないだろうか*1

まさに自分がそうだ。

 

それはさておき、この当時の録音のものは、

どの曲もどの曲も、みな同じ人が歌っているのではないかというくらい

同じような声に聞こえてしまうのは、いったいどうしたことだろう。

 

東京キッド/お祭りマンボ
復刻盤カセットジャケット/amazonより
作詞 藤浦洸、作曲 万城目正、編曲 仁木他喜雄
1950年(昭和25年)7月20日、日本コロムビアより発売

歌詞はうたまっぷ
東京キッド 美空ひばり 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい
東京キッド - Wikipedia
東京キッド

東京キッド

 

男と女の声の違いくらいで、

あとは歌い方で誰かを判断するしかないような感じ。

やっぱり当時の録音技術ではこれが限界なのだろうか。

 

あるいは、スピーカーも悪かっただろうから、

これ以上音質を良くしても意味が無い、と思われていたのかもしれない。*2

 

 

だけど、よくよく考えてみると、

視点を現代に戻して、似たような話があることに気付く。

初音ミクに代表されるボーカロイドなんかも、

みんな同じような声に聞こえてやしないか。

判る人には聞き分けられるのかもしれないが、はっきり言って同じ声にしか聞こえない。

 

得てして発展途上の技術というのは、そういうものなのかもしれない。

幸運に恵まれて、後の世に音源が残った時に、

当時のボーカロイドは、何でこんなみんな同じような声なんだ!

と誰もが感じる日が、近いうちにくるのかもしれない。

 

 

録音技術以外にも、もう一つ音質について気になる点がある。

 

この時代の曲の中でも、特に美空ひばり笠置シヅ子藤山一郎といった、

メジャーなメンツの曲であればあるほど、

残っている音源の音質が悪く、ノイズが目立つような気がする。

 

何度も繰り返しレコード化されているせいで

マスター音源ですら、繰り返しひっぱりだされてしまった結果なのだろうか。

それとも、メジャーな音源は本当のオリジナルが大切に残されていて、

そうでもない人たち(失礼)のものは残されておらず、

後の再録であるため音質が良いだけなのだろうか。なぞだ。

 

 

いずれにしても間違いなくいえることは、どの曲も今よりも音が良かったということ。

未熟な録音であれ、そのときの音源で聴いてみたかったものだ。

 

歌詞がそのまま曲調を表しているかのような

「♪粋で お洒落で 朗らか」な、このスローなジャズナンバーは、

今聴くよりもずっと粋で、お洒落で、朗らかに響いていたに違いない。

 

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スローなテンポの中、駆け足にならず、

かといって細切れにもならず、

非常に落ち着いた歌唱がポイント。

かといってムーディーにはならず 子どもらしさも残している。

 

これって結構この歌のキモになっている部分で、

下手に上手になって*3、こなれてきてしまうと

妙なタメやコブシを入れてしまい、雰囲気が台無しになってしまうのだ

この当時の美空ひばりが歌ってこその曲だと思う。

 

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「マンホール」

ストリートチルドレンの物語で、マンホールをねぐらにしていた、など諸説あるようだが、映画の話からするとそれはまったくの勘違いで、実のところ特に深い意味は無いらしい。空(天国?)→ビルの屋根に対比して下(地獄?)→マンホール としたのではないか。

 

「ジタバーグ」

今で言うジルバのこと。外国語は日本語として定着するまでに表記を変えることがよくある。似た例に「タロットカード」がある。昔は発音に近い「タローカード」という表記を見かけたが、いまは「タロットカード」でほぼ定着している。

 

amazonで現在入手可能な収録CD 2曲目/試聴可能

美空ひばりゴールデンベスト

美空ひばりゴールデンベスト

 

脚注

*1:しばしば、シルクハットで歌う『悲しき口笛』(1949年/ by )と混同してごっちゃになる

*2:そのあたり、CDの音質決定の経緯に似ていなくもない。

*3:下手に上手とは面白い表現だ