「♪右のポッケにゃ夢がある、左のポッケにゃチューインガム」
美空ひばり主演の同名映画を見たことはなくとも、
ズボンのポケットに手を突っ込んで歌う、子役時代のひばりの映像とひっくるめて
表題曲を記憶している人が、多いのではないだろうか。
まさに自分がそうだ。
また、シルクハットに燕尾服という姿で歌う
『悲しき口笛』(1949年/ by
)と
しばしば混同してごっちゃになるのも、よくある話。
まさに自分がそうだ!(ダメダメだ!)
それはさておき、この当時の録音は、ひばりの歌唱のみならず、
他の歌手によるものも含め、どの曲もどの曲も、
同じような声に聞こえてしまうのは、いったいどうしたことだろう。
デビュー前のひばりの異名は「ベビー笠置」だったというが、
(「ブギの女王」こと笠置シヅ子を、幼いひばりがコピーする異様さがウケたらしい)
レコードを聴く限りでは、笠置のみならず、女性歌手みんな
実は同じ人間の歌唱では?と思いたくなるほどだ。
レコードから聴こえてくるのは、男と女の声の違いくらいで、
かろうじて歌い方で誰かを判断するしかないような感じ。
やっぱり当時の録音技術ではこれが限界なのだろうか。
あるいは、スピーカーも悪かっただろうから、
これ以上音質を良くしても意味が無い、と思われていたのかもしれない。*1
最近、寄せ集めのウソ画像ばかり作成している
だけど、視点を現代に戻して、よくよく考えてみると、
今でもよく似たような話があることに気付く。
たとえば初音ミクに代表されるボーカロイドなんかも、
みんな同じような声に聞こえてやしないか。
判る人には聞き分けられるのかもしれないが、はっきり言って同じ声にしか聞こえない。
得てして発展途上の技術というのは、そういうものなのだろう。
幸運に恵まれて、後の世に音源が残った時に、
当時のボーカロイドは、何でこんなみんな同じような声なんだ!
と誰もが感じる日が、そう遠くないうちに来るのかもしれない。
録音技術以外にも、もう一つ音質について気になる点がある。
この時代の曲の中でも、特に前出の美空ひばりや笠置シヅ子をはじめ、
藤山一郎といった、メジャーなメンツの曲であればあるほど、
残っている音源の音質が悪く、ノイズが目立つような気がする。
何度も繰り返しレコード化されているせいで
マスター音源ですら、繰り返しひっぱりだされてしまった結果なのだろうか。
それとも、メジャーな音源は本当のオリジナルが大切に残されていて、
そうでもない人たち(失礼)のものはオリジナルが残されておらず、
後に再録されたものだけが残ったために音質が良いだけなのだろうか。
間違いなく言えることは、どの曲も本当は音が良かったであろうこと。
録音ではなく生音は特にそうだ。
できるならその当時の音質で聴いてみたかったものだ。
きっとそれは、歌詞がそのまま曲調を表しているかのような
「♪粋で お洒落で 朗らか」な、このスローなジャズナンバーで、
今聴くよりもずっと粋で、お洒落で、朗らかに響いていたに違いない。
名曲・聴きドコロ★マニアックス
スローなテンポの中、駆け足にならず、かといって細切れにもならず、
非常に落ち着いた歌唱がポイント。
かといってムーディーにはならず 、子どもらしさも残している。
これって結構この歌のキモになっている部分で、
下手に上手になって*2、こなれてきてしまうと
妙なタメやコブシを入れてしまい、雰囲気が台無しになってしまうのだ
この当時の美空ひばりが歌ってこその曲だと思う。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
マンホール
ストリートチルドレンの物語で、マンホールをねぐらにしていた、など諸説あるようだが、
映画のストーリーからするとそれはまったくの勘違いで、実のところ特に深い意味は無いらしい。
空(天国?)→ビルの屋根に対比して下(地獄?)→マンホール としたのではないか。
ジタバーグ
今で言う「ジルバ」のこと。外国語は日本語として定着するまでに表記を変えることがよくある。
似た例に「タロットカード」がある。昔は発音に近い「タローカード」という表記を見かけたが、
いまは「タロットカード」でほぼ定着している。