この曲に限らず、日本市場向けの作品であるにも関わらず
英語詞だけで構成されている曲は、古くからいくつか存在する。
つのだ☆ひろの『メリー・ジェーン』(1971年/ by
)をはじめ、
『モンキー・マジック』(1978年/ by
)などのゴダイゴの一連の楽曲*1、
ショーグンの『Bad City』(1979年/ by
)
トミー・スナイダーの『Super Hero』(1977年/ by
)
B'zのミリオンシングル「Real Thing Shakes」(1996年/ by
)、
ブリリアント・グリーンの『Bye Bye Mr. Mug』(1997年/ by
)など、
決して多くはないが確かに存在する。*2
自分はもともと洋楽好きなので、
こういうものに対する抵抗感はそんなにないし、
半端な日本語英語交じり文のJ-POPよりはるかに潔いとも思えるんだけど、、、、
それでも、どうしても声を大にして叫びたくなってしまう。
日本語で歌わんかい!
X JAPANによるこの表題曲に至っては、
そもそも「Crucify」という単語からして、全く聞き覚えもなく
思い立ってはそのつど意味を調べているけど、そのたびに忘れてしまう。
その意味合いは「磔にかける」こと、だそうだ。
「♪Crucify my love if my love is blind」
わが罪深き愛に 血の裁きを! -私の愛が幻惑だというのならば!
なんとまあ物騒ないいまわしだこと。
まったくお前はサウザーかっての。*3。
そういやこの曲には直接関係ないけど、当時の小泉純一郎首相が
ことあるごとにX JAPANをフェイバリット・アーティストとして挙げていたのは
彼の長年の持論である”郵政民有化”を推し進めるにあたって、
『Say Anything』(1991年/ by
)を使いたかったからはないかと
当時から個人的に勘繰っている。
「♪郵政エニシング」ってね。
いつ使うんだろうと、ワクワクしながら眺めていたものだが、
残念なことに思いとどまってしまったらしい。
(どうでもいいなこれは)
勘繰るついでに、『Crucify My Love』の、とってつけたような
弦楽奏*4によるイントロが意味するのは、
「この曲で聞けるのは、シンセサイザーの打ち込みではなく、正真正銘の生音ですよ!」
という宣言のように思えてしょうがない。
正直、このイントロがなければ、何の疑いもなく
シンセサイザーによるストリングスであると思いこんでいただろう。
生音である必要性が感じられないほど、曲に埋没してしまっているからだ。
イントロの存在理由があまり感じられないが故の推測に過ぎないのだが、
わざわざアメリカンシンフォニーオーケストラに演奏してもらった*5ようなので、
存在意義を設けるために取られた措置なのではないかと。
ああ、これもどうでもいいな。
妄想を読まされる方の身にならないと、
このあたりで離脱してしまう人を続出させかねないのは分かっているんだけど、
これを書きたくなるのは
おやじギャグを言わなきゃいいのに言ってしまう心境に近い。
とにもかくにも、個人的にはもっとも好きなXのナンバーがこれ。
英語歌詞である以前に、いろいろと変なことが多いこの曲だ。
まずサウンド面においては、ギターもドラムスもベースもなく、
ピアノ伴奏とボーカルという編成に、
前述のストリングスが重ねられるだけのシンプルなもの。
YOSHIKIがピアノに入っちゃうと、ドラムをたたく人がいないという
バンドの根本的な構造問題があるのは間違いないのだけれど*6、
おおよそロックやメタルとは程遠い。
変なバンドだよな。
意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み
英単語の意味を一つ一つ上げていってもしょうがないので、
ひとつ日本語訳としゃれこんでみよう。
意訳、というよりも雰囲気訳という感じに、
いつものように妄想をふんだんに混ぜ込んで・・・
私の愛がまやかしだというのであれば。
どうぞ、業深き私の愛を断罪ください。
それで私の魂が救われるというのであれば。
異端者を愛してしまった私に対して、神の子であるあなたは、
かの者を理解しようとしてはいけない、と説くのです。
かの者を信頼してはいけない、と説くのです。
そして、あなたは静かにこう諭されるのです。
「真実の愛は、自ずと人の生まれ持った色*7に見出されるのです」
どうか、業深き私の愛を断罪ください。
それしか道がないというのであれば。
内に外に、揺れ動く心の痛みが、私に訴えかけるのです。
大気の揺らめきが涙するのでならば、
教えに別れを告げようと思うのです。
私は学ぼうと努めました。求めようともがきました。
とこしへなる真理、に一歩でも近づこうと。
だけどその答えはどこにあるのでしょう。
それは永遠にたどり着けないのではないでしょうか。
ゆるやかな川の流れが、やがて遠く海に注ぎ込むように、
あなたの教えは、いつしか遠くに感じられるようになりました。
いつか私は、この苦しみに耐えられるようになると信じます。
やがて私は、悲しむ必要なんてないと知るのでしょう。
だからこそ、どうか、業深き私の愛を断罪ください。
ほかに道がないというのであれば。
孤独が大空に影を差し覆いつくす前に、私は旅立とうと思います。
いつか、私はその暗い影を払えるようになると信じています。
あぁ。それでも愛することは罪だというのでしょうか。
業深き私の愛を断罪ください。
私の愛がまやかしだというのであれば。
どうぞ、業深き私の愛を断罪ください。
それで私の魂が救われるというのであれば。
だからこそ、業深き私の愛を断罪ください。
ほかに道がないというのであれば。
なお、
「異端者を愛してしまった私に対して、神の子であるあなたは」
の部分だけは原文にないことを一応断っておく。
この一文を加えたらこういう解釈になった。
現在入手可能な収録CD
やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
※該当曲を聴ける保証はありません。
脚注
*1:ゴダイゴは最初に英語の歌詞で曲を完成させてから、日本語訳を訳詞家に託すという妙ちきりんな制作プロセスを行っている
*2:類似するものに、松田聖子やドリカム、イエモン、パフィーなどが海外進出したときにリリースした海外向けの英語バージョンがあるが、それらとはちょっと違う。
*3:「愛などいらぬ!」と言い放つ、漫画『北斗の拳』の適役の一人
*4:バイオリンやチェロなど弦楽器の多重奏
*5:最初は、弦楽器3~4本くらいの編成のセッションミュージシャンが
何回か重ね撮りしたものだろうと勝手に推測していたんだけど、マジでやってしまったらしい。
*6:ライブでどうしても両方必要なときは、代理を立てるか、別録を流しているようだ。
*7:「a color」は自分自身の肌や目の色、つまりは同じ人種のことを指していると思われる