日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『長崎の鐘』 藤山一郎 ~ にわかな光明を瞬時に覆い尽くす闇

いうまでもなく、長崎での戦災をテーマにした曲。

直接的に原爆をしめす表現は一切出てこないものの、

誰もがそれを連想せざるをえない。

 

ということで、曲調も、歌詞も、何もかもが

重苦しい雰囲気を醸し出している。

 

とても美しいメロディーラインの曲なのだが、、、とにかく重い。

 

長崎の鐘 (アルバ文庫)
原案である永井隆の著書/amazonより
長崎の鐘

長崎の鐘

 
  • 作詞 サトウハチロー、作・編曲 古関裕而
  • 1949年(昭和24年)7月1日、に日本コロムビアから発売
  • 歌詞はうたまっぷへ:長崎の鐘 藤山一郎 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:長崎の鐘 - Wikipedia
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    ところが、サビの導入部分から局面が一変する。

    「♪慰め、励まし、長崎の・・・」

    希望の光があふれだすような、

    谷あいから出て急に視界が開けたような、そんな美しさが眼前に広がる。

    この展開の見事さは、いったいどういうことだろう。

     

    しかしそれもほんのつかの間のこと。

    サビの終わりから間奏にかけての刹那にすぐに世界は暗転してしまう。

    またしても世界は重い雰囲気の中に包まれてしまう。

     

    そんなことをただ繰り返して、救いのないままに曲は終了する。

     

     

    ひとつは歌いだしの直前、ひとつはサビの直前。

    さり気なくて聞き逃してしまいそうな瞬間的な技だけれど、

    なにかひらめいような、小さなピアノの和音をきっかけにそれは起こる。

    瞬間的なの転調*1による

    暗雲が掻き消えるような爽快さをご堪能あれ。

    これぞプロの技というもの。

     

     

    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    この時代の曲にはときどきあることだが、

    同じ曲でも、聴くレコードによって極端にアレンジやテンポが違ったり

    場合によってはまったく聞き覚えのない部分が入っていたりすることがある。

     

    この曲については、“幻の3番”が存在するバージョンもあるという(個人的には未聴)。

    以下幻の3番歌詞

     

    「♪つぶやく雨の ミサの音 たたえる風の 神の歌

     耀く胸の 十字架に ほほえむ海の 雲の色

     なぐさめ はげまし 長崎の ああ 長崎の鐘が鳴る」

     

    得てしてこういうものは、あとからオマケ的に追加されたものというのが相場だが 

    どうもこの曲に関しては、最初から3番があったらしい。

    カットされたのは、SPレコード*2の収録時間の都合上だという。 

     

    そういえば、やはり藤山一郎の『東京ラプソディ』(1936年/ by )では、

    およそ4分というレコードの都合上から、駆け足のようなテンポで収録されている。

     

    長崎の鐘については、いくらなんでもアップテンポにして乗り切るというわけには

    いかなかったため、やむを得ず3番をカットした、ということなのだろう。

     

    意味が知りたし★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    長崎の鐘

    爆心地近くにあった浦上天主堂の鐘楼のことといわれている。被災して崩壊した姿が保存され、現存している。が、つまりはすでにこの鐘は決してふたたび鳴ることがない。心の中で鳴っているのだろうか。

     

    amazonで現在入手可能な収録CD Disc3・2曲目/試聴可能

     

    脚注

    *1:EメジャーからEマイナー、EマイナーからEメジャーへ進行している

    *2:初期のシングル盤。LPと同じようなサイズのクセに、数分しか収録時間がない。