日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『ちいさい秋みつけた』 ボニー・ジャックス ~ 胸に沁みる秋のうたは、病床のうたか

それにしても、なんて美しい曲だろう。
印象的な前奏から、一抹の寂しさを伴って胸にしみてくる。

『想い出の渚』(ザ・ワイルド・ワンズ/1966年/ by)の稿でふれたように、
夏のうたがノスタルジィ*1であるのならば、
秋のうたはというと、ロンリネス*2だろうか。
同じ回想でも、秋の歌は懐かしさよりも寂しさが先立つような気がする。

主人公は、目かくし鬼さんの遊びに参加しているのではなく
窓越しに聞こえてくる音を頼りに、秋の情景を見ているようだ。
病床にでもあるのだろうか、
おもわず物語「最後の一葉」(オー・ヘンリー)のワンシーン*3を思い浮かべてしまう。


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ジャケット/ネット上での拾い物(いけません)
ちいさい秋みつけた

ちいさい秋みつけた

  • ボニージャックス
  • 謡曲
  • ¥255
 
  • 作詞 サトウハチロー、作・編曲 中田喜直
  • 1962年(昭和37年)4月10日、キングレコードより発売のLP「サトウハチロー童謡集」に収録
  • 歌詞はうたまっぷへ:ちいさい秋みつけた ボニージャックス 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:ちいさい秋みつけた - Wikipedia


  • 元々は、NHKの番組企画の童謡として作られた歌だそうだが、
    その数年後にボニー・ジャックスが歌ってヒット。
    『赤とんぼ』( by)や『夕焼け小焼け』( by)のような
    戦前からの唱歌に混ざって、秋のうたの代表曲のひとつとなった。

    物寂しげな前奏から、効果的な繰り返しの歌詞をへて
    こころ寂しくも美しいサビに突入する。


    「♪お部屋は北向き曇りのガラス うつろな目の色溶かしたミルク」
    病棟では、硝子だけでなく、目の色もうつろに曇りがちだ。
    そんな病室に、そとで遊ぶ子供たちの声がかすかに聞こえてくる。
    見える景色はわずかだが、風音や鳥の声、
    古ぼけた風見鶏に引っかかった、たった一枚の葉に
    主人公は、かすかに季節の手がかりを見い出している。

    病室で季節の変わり目を見るということは、
    ひと月やふた月の療養生活ではないのだろう。


    ん、沁みるね。


    名曲・聴きドコロ★マニアックス

    同じフレーズの繰り返しの多いこの歌、
    「♪誰かさんが・・・」は音程もまったく同じなので
    それぞれ少しずつ歌い方を変えないと、
    レコード針が飛んでいるようになってしまう。
    その気になればこの部分をエンドレスにして
    ギャグにすることも可能。

    次に来る「♪ちいさい秋・・・」は同じようでいて
    微妙に音程がかわっていく。

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    めかくし鬼さん
    ごっこのひとつ。元が子供の遊びなので公式の競技規則はないが、「鬼さんコチラ、手の鳴る方へ」と手を叩きながら四方へ後ずさりする。目隠しした鬼にタッチされたら負け。
    逃げる側は、走ったり遠くへ行ったら反則だが、相手が目隠ししていることをいいことに、結構卑怯なふるまいをするため、一つ間違えたらいじめのようになりかねない。鬼は年長者などの強めの者がやるのが、遊びが成立するコツ。

    入日色(いりひいろ)
    上記のように漢字で書いてしまえば、解説はたちまち不要となる。夕焼けの色。


    現在入手可能な音源
    やっぱ生で聴きたい人は、ライブ・イベント情報&チケット
    ▼ ボニー・ジャックス
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    ※該当曲を聴ける保証はありません。




    脚注

    *1:【ノスタルジィ】Nostalgie フランス語らしい。日本語でいえば「郷愁」

    *2:【ロンリネス】loneliness これは英語。孤独。物悲しさ。

    *3:【「最後の一葉」のワンシーン】あの最後の葉っぱが落ちたら私の命も終わるんだ、というのは最近はギャグでも見かけなくなった