日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『高原列車は行く』 岡本敦郎 ~ 日本のフニクラ・フニクラ、というわけではないらしい

「♪穿こう 穿こう 鬼のパンツ!」

のとんでもない邦訳(というより替え歌か?)でもおなじみの

『フニクラ・フニクラ』*1と同じような、

観光PRソングだとばかり思っていたが、

どうも違うらしい。

 

また、歌のモデルとなった鉄道は、

かつて長野県の軽井沢群馬県草津を結んだ

草軽軽便鉄道だと思い込んでいたが、

それもどうも違うらしい。

 

なんだか、調べるほどに思い込みと勘違いだらけだったことに気付く。

『フニクラ・フニクラ』にも通じるアルペン風の曲調と、

「牧場」「白樺林」「山越え谷越え」「高原」「いで湯の宿」「峠を越えれば」

という数々のキーワードからの連想であったが、

そのなかで「五色の湖」だけはどこを指しているのか

結び付けられなかった。

 

 

それもそのはず、この曲のモデルとなった鉄道は、東北地方。

どちらも日本百名山に数えられる、磐梯山安達太良山の間の

広い谷筋を走った、沼尻軽便鉄道という路線らしい。

 

なるほど、有名な五色沼が、沿線ではないが比較的近くにある。

が、鉄道は谷に沿うばかりで峠は越えない

「♪峠を越えれば 夢見るような五色の湖」

とは、鉄道を降りて峠を越えれば、ということらしい。

 

しかし、モデルとなったという沼尻鉄道が

現役当時にこの曲をPRに活用した形跡はないようだ。

廃線の後にモニュメント的に使われているだけという。

 

なんでだろう。イメージが違いすぎるからだろうか。

鉄道はこのヒット曲から15年ほど先の昭和43年まで運行したというが、

曲のルーツとして知られるようになったのが、廃線後なのかもしれない。

 

  

それにしても、先に触れた各種キーワード、

PRソングでないことが全く不思議なくらいの

てんこ盛りさ加減だ。

そして何より、うれしくなっちゃうくらいの軽快さ。

 

「♪高原列車は ランランランランラン 行っくよ~」

 

 

そして、軽快さのバックで終始聴くことができる、

わずかな休符もなく、終始流れるフルートの存在も忘れてはいけない。

これが気になりだすと、思わず息継ぎの心配までしてしまうのだ。

 

 

 

 

名曲・聴きドコロ★マニアックス

この曲、いろいろと調べてもあまり有効な情報が出てこない。

SPレコードの発売年月日を調べるにも困るありさま。 

編曲者は結局判らずじまいだった。

 

Wikipediaにも項目がなく、出てくるのは沼尻鉄道との絡みばかり。

その割には、沼尻鉄道とこの曲の間で

コラボしたというエピソードが見つからない。

 

深田久弥の「日本百名山*2

磐梯山と、安達太良山の項にある地図に

沼尻鉄道の路線がしっかり載っているのを見つけて、

一人心のうちニンマリするばかりであった。

 

  

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

「牧場の乙女が花束投げる」

どういうシチュエーションだろう。

まさか本当に、結婚式のブーケトスや、ショーのステージ向かって投げるような

ラッピングされた花束を投げるわけではあるまい。

牧場で摘んだクローバーなどの花を、

パッと高く撒きあげるイメージだろうか。

 

「温泉の宿」

温泉と書いて「いでゆ」と読ませているところが憎たらしいが、

モデルとなったのは終着駅の先の沼尻温泉と、

そこから引湯する中ノ沢温泉と思われる。

観光バスのくだりが出てくるので、

列車でから乗り継いだ先の裏磐梯の湯かもしれない。

 

「夢見るような五色の湖」

本文中でも触れたように、裏磐梯五色沼のことと思われる。

磐梯山の大爆発によってできた赤沼、青沼などの湖沼の総称。

 

 

amazonで現在入手可能な収録CD 4曲目/試聴可能

 

iTunes / 試聴も可能
高原列車は行く

高原列車は行く

  • 岡本敦郎
  • 演歌
  • ¥250

 

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白い花の咲く頃/高原列車は行くこれは遥か後年のシングルCDジャケット/amazonより

作詞 丘灯至夫、作曲 古関裕而

1954年(昭和29年)2月、日本コロムビアより発売

 

歌詞はうたまっぷ

岡本敦郎/歌詞:高原列車は行く/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

「高原列車は行く」の検索結果 - Wikipedia

 

脚注

*1:実は1880年代に作られた、イタリアの火山にあるケーブルカーのPRソング。だから、「♪行こう、行こう、火の山へ~」という正統な(?)邦訳もある

*2:このブログがこの本にインスピレーションを受けているのは前書きに書いた通り