日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『津軽平野』千昌夫 ~ にっぽんのふるさと。家族の絆を歌う。

いやいや、だって演歌だし、とか、だって千昌夫だし、とか

食わず嫌いしていないでこの曲を聴いてごらんなさいヨ。

びっくりするほど美しい曲だから。

 

出だしのオーボエアコースティックギターの絡みと、遠くで聞こえる拍子木の音なんか、

日本人の心にズキューンと突き刺さって、涙ちょちょぎれそうなもんで、

それはまさに「紀行もの」のテーマ曲を彷彿とさせる。

 

それは大野雄二の『光と風の四季』(1983年/「小さな旅」/ by*1)だったり、

それは服部克久の『自由の大地』(1987年/「新世界紀行」/ by)だったり、

渡辺俊幸の『新日本探訪のテーマ 』(1991年/試聴はこの先から)や

SENSの『海神』(1988年/「海のシルクロード」/ by)、

喜多郎の『絲綢之路』(1980年/「シルクロード」/ by)、

元道俊哉『日本百名山テーマ曲』(1994年/「深田久弥日本百名山」/試聴はこの先から

宗次郎の『大黄河』(1986年/「大黄河」/ by)だったりする。

 

こいつらは、聴いてるそばから、ヒトの胸の奥をわしづかみにして、

さんざんいたぶってくれた挙句、

その日終日エンドレスで脳内にこだましやがるのだ。

 

 

【検聴合格】↑針飛びしない画像の安心レコード】1984年・千昌夫「津軽平野/旅の居酒屋」【EP】 シングルジャケット/amazonより
津軽平野

津軽平野

 
  • 作詞・作曲 吉幾三、編曲 京建輔
  • 1984年3月25日、キャッツタウンレコードより発売
  • オリコンチャート外
  • 歌詞はうたまっぷへ:津軽平野 千昌夫 歌詞情報 - うたまっぷ 歌詞無料検索
  • 曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい:津軽平野 (曲) - Wikipedia
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    さて、ちょっと面白いのが、視点の主。

    歌詞にたびたび登場する「♪おう」視点かと思いきや、

    案外、残された子どもの心境を歌った歌だったりする。

    千昌夫吉幾三が歌っているせいで、どうしてもオヤジのセリフに聞こえてしまうんだよな。

     

     

    「♪淋しくなるけど 慣れだや お父う」

    しばらく離れ離れになる父親に向かって、子どもが気丈な言葉を投げかけているんであって、

    けっして、一人で出稼ぎ行くのは、さみしいけど慣れたよ、というオヤジの言葉ではない。

    (子どもに会えないことに慣れたなんて、父親は口を滑らせてはいけない)

     

    「♪ストーブ列車よ 逢いだや お父う」

    だから、ストーブ列車を目の前に、まだまだ春が遠いことを感じて、

    子どもが親父に会いたいといっているのであって、

    オヤジが、故郷のストーブ列車を懐かしんでいるんじゃないんだって。

     

     

    津軽平野、出稼ぎ、十三湊、ストーブ列車、津軽の雪に、

    じょんがら節、そして、お岩木山

     

    そんな冬の津軽を描き切った、

    ご当地ソング、というより、ふるさと紀行。

    ほとんど無名の頃の吉幾三が作り、ヒット歌手の千昌夫が訥々と歌い上げた。

    日本のふるさとを歌う、そんな津軽平野

     

     

     

    意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

    津軽平野

    津軽半島の西半分、弘前を中心とした平野で、日本最大のリンゴの産地。

    ランドスケープシンボルとして、津軽富士こと岩木山がそびえる。

     

    春は弘前公園の桜、夏は佞武多ねぷた祭りでにぎわう。

    津軽三味線津軽民謡が有名で、中でもじょんがら節は、名前だけはよく知られる。

    歌詞やメロディを口ずさめる余所者はあまりいないと思う。

     

    日本海側気候のため、冬は雪に閉ざされることもあって、

    冬は東京などへ季節労働に行く、いわゆる出稼ぎに行く者も少なくなかったようだ。

     

     

    十三湊

    「じゅうさんみなと」。古来正式には「とさみなと」と読む。

    現在の十三湖周辺にあった中世以前の港町。

     

     

    ストーブ列車

    ローカル私鉄、津軽鉄道五所川原-中里)に冬期間走る、

    暖房用にダルマストーブを積んだ列車。

     

    現在は、観光列車として運行されている。

     

     

    いつも じょんがら 大きな声で お父う歌って 汽車から降りる

    ここだけ見ると騒がしいオヤジだよな。

    故郷に戻ってテンション上がってるんだろうけど、

    いざ、そういう親父がいなくなった家は寂しかろう。

     

     

     

     

     

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    ▼ 千昌夫
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    脚注

    *1:関東甲信越 小さな旅」の頃のアレンジ-歌詞がつけられ岩崎宏美が歌ってしまった(1986年/ by )、その元となったころのアレンジが大好き。スコア的には現在のものとほとんど同じなんだけどね。今のはちょっと仰々しい。