日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見で100曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

『わかれうた』 中島みゆき ~ 私小説的な物語。お笑いの自虐ネタではありません。

ねぇよ!

 

反射的に突っ込みたくなるくらい強烈な、

そんな問いかけから歌はスタートする。

 

「♪みちに倒れて 誰かの名を 呼び続けたことは ありますか?」

 

すごいね、これ。

名作と呼ばれる小説の多くは、

その書き出しが最も印象的だったりするが

それらに勝るとも劣らぬ書き出しだ。

 

 

しかも鉄板の自虐ネタ。

問いかけの裏には、自分にはあるぞ!!

という主張がしっかり入っている。

もう、どうあっても実話であってほしい。

 

子どものころ、ダダこねて道端で泣き叫び

親を呼んでました、えへ。

なんてしょうもないオチに逃げてはいけない。

 

すごく痛いけど、同情されることすら拒絶するくらいの

強烈なエピソードは、それだけで真実味を帯びてくる。

それがたとえ作り話であったとしても。

 

 

ついでだから、自分のマジ鉄板自虐ネタを披露してみよう。

 

自分の誕生日に ひとの誕生日会に呼ばれて

行ったことが ありますか?

(俺はある!! どーん!)*1

 

 

余談はともかくとして、

この私小説*2的な歌詞も

詩というよりは、文体的にも表現的にも小説に近い。

 

冒頭の歌詞の漢字の振り方にしたって、

みち」に倒れて誰かの名を・・・、と来たもんだ。

 

道端に倒れこんで、立ち去っていく相手の名を

姿が見えなくなるまで泣き叫び続けている状況、

ではなく、

途方に暮れて、気が動転してひとつのことしかできない、

ただただ相手の名前を呼ぶことしかできない状況。

 

どちらも、恥も外聞もない状況に変わりはないのだけれど

たった一文字の違いだけで、前者の大いに芝居じみた感じではなく、

後者の、もっと心象的な、内面的な情景を

思い浮かべるに至る。

 

 

 唄い出しの一行だけで、ここまで書けたよ。

 

 

名曲・聴きドコロ★マニアックス

こんな内容なのに、リズムは跳ねるような「♪ズンチャカチャッチャ」。

それでいて単調な繰り返しのリズムに終始している。

単調、というよりも淡々としたといった方がいいかもしれない。

 

そして『時代』(1975年)の、

取って付けたようなオープニングのように

変にドラマチックにしていないあたりが、

達観した冷めた感じを出していて、

暗鬱な雰囲気の中に、どこかシニカル*3な響きを持たせている。

 

 

というより、なんとなくだけど、

ラテン風というか、アラビアン風というか

そんなエキゾチックな雰囲気を持っているように聞こえない?

 

もはや、頭の中で結びついてしまった

歌詞とメロディーを分離することはできないけれど

知らずに伴奏だけを聴いていたとすれば、

寂しげな中に、どこかコミカルな感じを見出せたと思う。

 

サイレント映画の伴奏曲のような。

サーカスのちょっと寂しげな音楽のような。

 

 

 

 

意味が知りたい★ここんとこ 深読み&ななめ読み

「他人事に言うほど 黄昏は 優しい人好しじゃ ありません」

他人事のように、冒頭の問いかけを発してみたものの、

黄昏(むなしさでやりきれない気持ちのことか?)は

募るばかりで和らいでくれない。

 

 

「あなたは憂いを 身に着けて 浮かれ街あたりで 名を挙げる」

恋に破れた寂しげな雰囲気を身にまとい、

歓楽街で、物憂げな感じを逆に目立たせている。

そんなことで果たしてモテるのか? 不明。

 

 

「誰が名付けたか 私には わかれうた歌いの 影がある」

 名付けたか、と言っていることから、

この影というのは、「わかれうた歌い」というアダ名のことを指している。

 

不名誉なアダ名が影のように身にまとわりついているのか、

陰で付けられたアダ名なのか。どちらかだろう

 

 

「♪恋の終わりは いつもいつも 立ち去るものだけが 美しい」

「♪残されて 戸惑う者たちは 追いかけて 焦がれて 泣き狂う」

滅びの美と、無残。

同じことなのに、立場の違いで逆の結果になる。

 

決して一方的にフラれた歌ではないのだと思う。

「私の癖なのか」

と歌っていることからも、

お互いの心情のもつれからの結末なのだろう。

 

捨て去ることができた者と、捨て去ることのできなかった者の違いか。

 

 

 

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愛していると云ってくれ

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わかれうた

わかれうた

 

 

 

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わかれうた[中島みゆき][EP盤]

作詞・作曲 中島みゆき、編曲 福井崚・吉野金次

1977年(昭和52年)9月10日、キャニオンレコードより発売

 

歌詞はうたまっぷ

中島みゆき/歌詞:わかれうた/うたまっぷ歌詞無料検索

 

曲にまつわる背景などはwikipediaにくわしい

わかれうた - Wikipedia

 

オリコン最高位1位(年間10位/1978年)

脚注

*1:しかも、その日はその人の本当の誕生日ではなく、集まるのに都合の良い日が選ばれた。

ええ。もちろん言い出せませんでした。誰も言い出してもくれませんでした。

結果として大変いいネタを仕入れることができました。

*2:実体験をもとに赤裸々につづった(ような感じの)小説。たぶんに実話に基づいてはいるのだろうけど、もちろん話を盛りまくっているし、フィクションであることには違いない

*3:皮肉な感じね