日本百名曲 -20世紀篇-

20世紀の日本の歌曲から、独断と偏見による日本100名曲を紹介(500名曲もやるぜよ)

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『ペッパー警部』 ピンク・レディー ~ 過去記憶の捏造は、果たして曲による洗脳なのか

…っていたが、 どうやら世代的に、リアルタイムで見てはいないようだ。 テレビで懐かしの映像などを見ているうちに、 その強烈なインパクトとともに 刷り込まれてしまったものなのだろう。 wikipediaの記述を見て、そうそう、曲の最後、 「♪ペッパー警部よッ! ジャンジャンジャンジャン!」って終わってたよなー、 でもレコードにはこの部分ないんだよなー、と自分の記憶との一致に膝を叩いたものだが、 これはまがい物の記憶だったらしい。 シングルジャケット/amazonより ペッパー警部…

『なごり雪』 イルカ ~ まだ季節は春じゃない、旅立ちはもう少し先のはず

…で、 その違和感はさらに深まってしまった。 おそらくは表題曲と同時に発表された、同じく伊勢正三作詞・作曲の 『22才の別れ』(かぐや姫/1974年/※試聴環境がないようです by)*1と シチュエーションを重ね見てしまっている影響も大きいのではないか思う。 青春最後の時期の恋人同士の 別れを歌った歌のように思われている節がある。 ・・・果たしてそうなのだろうか? 「♪東京で見る雪はこれが最後ねと 寂しそうに君がつぶやく」 ここに悲壮感はあまりない。あるのは一抹の寂しさだけだ。…

『木綿のハンカチーフ』 太田裕美 ~ 天然悪女の男いじめうた

…どうもその解釈は違うらしい。 都会にもまれて、変わっていく男、 やがて男は故郷を捨て、恋人にも別れを告げる曲だと。 女は、最後にひとつ小さな願い事を告げて、別れを受け容れる。 「♪涙ふく 木綿の ハンカチーフください」 いじらしいじゃないの。 シングルジャケット/amazonより 木綿のハンカチーフ太田裕美歌謡曲¥255provided courtesy of iTunes 作詞 松本隆、作曲 筒美京平、編曲 萩田光雄 1975年(昭和50年)12月21日、CBSソニーより発…

『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』 / ダウン・タウン・ブギウギ・バンド ~ 果たして、歌である

…のほうが、はるかに歌らしいではないか。 ラップミュージックには、メロディーラインはなくても、 リズムに乗った言葉がある時点で、はるかに歌であるといえる。 一方、表題曲ときたら、タイトルコールである 「♪港のヨーコヨコハマヨコスカ~」のコーラス部分以外には、 歌唱にメロディーラインも、リズムもない。 ただただセリフがあるだけだ。 ベースのリフ*1に乗って、 強面のニイちゃん、ネエちゃんの「証言」が延々と綴られていくだけだ。 主人公は、「ヨーコ」という水商売の女の足跡をたどって、…

『東京』 マイ・ペース ~ 東京東京うるさいんだよう

…を抜いている。 おそらく遠距離恋愛という言葉も定着していなかった時代だろう。 遠く離れた東京で暮らす恋人に思いめぐらすこの曲は、 印象的なフルートの音色で始まる。 淡々としたメロディーの中、東京、東京、とひつこく繰り返しているうちに 感極まったように切なく力強いサビに突入し、 最後はどのパートがメロディーラインなのか混乱する*2ような ハーモニーで締めくくられる。 シングルジャケット/amazonより 東京マイ・ペース歌謡曲¥255provided courtesy of i…

『タイムマシンにおねがい』 / サディスティック・ミカ・バンド ~ 時代に早すぎたギターサウンド

…たが、 まさかそこから20年以上もさかのぼったところ*2に 既視感*3の源が転がっているとは思わなかった。 それにしてもこの表題曲、今日、今の時代にリリースしても なんら違和感のない曲だと思う。 ましてや、パフィーの曲と嘘紹介をしても信じる人がいるんじゃないかな? 現代においてもちょくちょくテレビとかでも部分的に使われている曲なので、 前からタイトルとメロディーはなんとなく知っていたのだけれど 改めて聴いてみると、その正統派ともいえるギターサウンドに 古臭さがあんまりないのだ…

『たそがれの銀座』 黒沢明とロス・プリモス ~ 数え歌になり損ねたかムード歌謡

…歌謡」という名を与えられた枝葉的なジャンルが発生した。 大雑把に定義するならば、ラテンのリズム*4に乗せて、 コーラスグループが歌う歌謡曲を指すものということになる。 ムード歌謡は、歌詞の内容でさらに2系統に分けられ、 オッサンらのグループが女心を歌いあげる系統と、地域を題材にした内容の系統とがあり、 後者は「ご当地ソング」とも称され、ジャンルの絡み合いが激しくややこしい。 シングルジャケット/amazonより たそがれの銀座純烈演歌¥255provided courtesy…

『ジョニィへの伝言』『五番街のマリーへ』 / ペドロ&カプリシャス ~ コミュ障なふたりの伝言ゲーム物語

…切っていた。 初めからひと組の楽曲として作られたのじゃないかと思ってしまうくらい、 見事な対比をみせているこの2曲。 続きものではなくまったく別々に作られたものと知ったのは、 ずいぶん後になってからのこと。 何も具体的な描写はないが、どこかヨーロッパの古都を思わせる雰囲気の中、 踊り娘のマリーと、素性不明の男ジョニィの それぞれの視点から終わった恋を歌う切ない物語だ。 ヨーロッパの、といったものの、主人公たちの名前以外に それを思わせるものはほとんどない。 むしろ名前の響きと…

『ちいさい秋みつけた』 ボニー・ジャックス ~ 胸に沁みる秋のうたは、病床のうたか

…う。 印象的な前奏から、一抹の寂しさを伴って胸にしみてくる。 『想い出の渚』(ザ・ワイルド・ワンズ/1966年/※試聴環境がないようです by)の稿でふれたように、 夏のうたがノスタルジィ*1であるのならば、 秋のうたはというと、ロンリネス*2だろうか。 同じ回想でも、秋の歌は懐かしさよりも寂しさが先立つような気がする。 主人公は、目かくし鬼さんの遊びに参加しているのではなく 窓越しに聞こえてくる音を頼りに、秋の情景を見ているようだ。 病床にでもあるのだろうか、 おもわず物語…

『伊勢佐木町ブルース』 青江三奈 ~ スケベを餌にやりたい音をやってのけるべし

…ーシーンに持ち出したら、見事に炎上しそうなもんだが 当時でもやっぱり非難ゴーゴーだったと思われる。 けど、世に出した。その決断がすごいね。 とはいうものの、歌詞に直接的な性的表現はまったく出てこない。 「夜」や「恋」、「夢」といったキーワードを見せるだけで、 肝心なところは「♪ドゥドゥビ・・・」と伏せてしまう。 こういうのをもっと露骨にやったのが、のちの 『美・サイレント』(山口百恵/1979年/※試聴環境がないようです by)で、 肝心なところでマイクを外し、口パクする演出…

『想い出の渚』 ザ・ワイルドワンズ ~ 日本人の夏はノスタルジィでできている

…になったのは、いつからなのだろうか。 夏の歌といえば、大人も子どもも恋人も、 夏だぜ海だぜ騒ごぜイエイ、てな開放的な感じではなく、 夏の日の思い出を、優しく、ときに切なく歌い上げる曲が 日本の歌には特に多い気がする。 「♪麦わら帽子はもう消えた 田んぼの蛙ももう消えた それでも待ってる夏休み」 『夏休み』(よしだたくろう/1971年/※試聴環境がないようです by)、 「♪胸元が揺れたら 雫が砂に舞い 言葉もないままに あきらめの夏」 『夏をあきらめて』(研ナオコ/1982年…

『恋のフーガ』 ザ・ピーナッツ ~ 突き刺さるイントロに、ふとゴジラの面影をみる

… その鋭角的な2音からなる衝撃音と、 入れ替わり現れるティンパニーソロとの 繰り返しによるイントロが特徴的というよりは、異様とも言えて印象的。 このアレンジは、ピーナッツといえばこの人、宮川泰によるもので、 コンサートやレコードの冒頭で度肝を抜くにはまさにもってこいだ。 現代においてもその存在感に圧倒される。 あまりにも攻撃的な音なため まるで怪獣映画の曲のような印象を持ってしまう。 ピーナッツが映画「モスラ対ゴジラ」に出演*2していたための 先入観からくる錯覚かもしれない。…

『恋のバカンス』 ザ・ピーナッツ ~ ジャパン・ポップス、バラ色の幕開け

…ジちがうかな? どちらが主旋律ともとらえきれないツインボーカルは、 声質こそ旧態依然とした「歌謡」の雰囲気を漂わせているものの、 曲全体をつつむ雰囲気が、新たな時代の音楽を予感させるものとなった。 シングルジャケット/amazonより 恋のバカンスザ・ピーナッツ歌謡曲¥255provided courtesy of iTunes 作詞 岩谷時子、作曲・編曲 宮川泰 1963年(昭和38年)3月、キングレコードより発売 歌詞はうたまっぷへ:恋のバカンス ザ・ピーナッツ 歌詞情報…

『いつでも夢を』 橋幸夫・吉永小百合 ~ 曲がいいと中国語でもイケるのよ

…記憶がないが、 昔からこのメロディーは知っていた。 表題曲をそれとして最初に認識したのは 1992年のサントリーの烏龍茶のコマーシャル*1が最初だったと思う。 中国語で唄われたこのCMは当時ちょっとした話題となり、 調子に乗って新聞に載せた烏龍茶の全面広告には、 譜面入りで中国語のフリガナ付の歌詞が載っていた。 「♪ピーシーユーハイシャシーユーニー」(適当) や、よく覚えていないや。広告取っておけばよかったかな。 それはさておき、古き良き時代のデュエットの大トリを飾る*2この…

『ハイそれまでョ』 植木等 ~ 卓越した表現力はタチが悪い

…て映画化*1し、 さらにつづけての映画『ニッポン無責任時代』の主題歌(のひとつ)となったのがこれ。 つづけて、といっても実際は間にもう2作映画があるらしいが、 実際のところどれも歌以外はよく知らない。 歌ありきの作品、というのがよくわかる。 一応そのタイトルを発表順に挙げておくと、 『スーダラ節 わかっちゃいるけどやめられねぇ』 (1962年3月公開。主題歌『スーダラ節』※試聴環境がないようです by) 『クレージーの花嫁と七人の仲間』 (1962年4月公開) 『サラリーマン…

『スーダラ節』 ハナ肇とクレージー・キャッツ ~ 生真面目にとほうもない脱力劇

…でいるのか、何かをそらんじているのか、 まあ意味も何もないのだろうが、とにかく強烈だ。 すっとぼけた管楽器の伴奏が、きらびやかに花を添えている。 そして何の必然性もなく、歌の直前のブリッジ(間奏)が、 1番、2番・・・とすべて異なるメロディーになっている。 アレンジだけでなく、間奏の旋律がぜんぶ異なるのだ。 コミックソングと侮るべからず。 楽曲として不必要なほどに凝っている。 シングルジャケット/amazonより スーダラ節植木 等歌謡曲¥255provided courte…

『東京ナイトクラブ』 松尾和子・フランク永井 ~ オ・ト・ナな男女の火アソビ劇場

…それをひと言でいうなら、ムーディ。 ナイトクラブ、とはいうものの、おそらくダンスホールのような場所なのだろう。 そこを舞台とした、大人の恋の駆け引きを歌った曲だが、 それにしても、まあ、軽薄なことよ。 以下2番の歌詞 (女)もう私、欲しくはないのね (男)とても可愛い、逢いたかった (女)男は気まぐれ、その時きだけね (男)うるさい男と、言われたくない (女)どなたの好み、このタイは (男)妬くのは、およしよ (男女)東京・ナイト・クラブ 見事なまでに、話に内容が無い。 シン…

『お富さん』 春日八郎 ~ 意外や意外にヤクザな物語だよお富さん

… 元ネタは歌舞伎*1らしい、と知ったのは最近のこと。 人の女に手を出したチンピラが、女ともども半殺しの目にあって、 命からがら逃げだして自分だけ生き延びたと思っていた。 しばらくのち、 当の女は誰かに囲われていて、いい暮らしをしていたことを知り、 てめえだけがいい目見やがって、と男は女をユスりにかかる。 そんな話らしい。 歌の歌詞も、よく見ると確かにそうなっている。 ・・・マジ? 後年の復刻版ジャケット/amazonより お富さん春日八郎歌謡曲¥255provided cou…

『お祭りマンボ』 美空ひばり ~ 出来すぎちゃったネタフリ

… このフレーズときたら、いつの時代になっても おもわず使ってみたくなるモノらしく、 90年代の『お祭り忍者』(忍者/1990年/試聴はこの先から)や 21世紀に入っての『ダンシング!夏祭り』(10人祭/2001年/※試聴環境がないようです by )にも 手を変え品を変え、組み込まれていたりする。 ノリノリだもんねぇ。フレーズがおもわず口について出てしまうほどに。 しかしその内容はというと、祭り見物に夢中になって、 空き巣に留守宅を荒らされたオバちゃんと、 片や、神輿を担いで練…

『東京キッド』 美空ひばり ~ その音質は時代の音なのか

…、ひばりの歌唱のみならず、 他の歌手によるものも含め、どの曲もどの曲も、 同じような声に聞こえてしまうのは、いったいどうしたことだろう。 デビュー前のひばりの異名は「ベビー笠置」だったというが、 (「ブギの女王」こと笠置シヅ子を、幼いひばりがコピーする異様さがウケたらしい) レコードを聴く限りでは、笠置のみならず、女性歌手みんな 実は同じ人間の歌唱では?と思いたくなるほどだ。 レコードから聴こえてくるのは、男と女の声の違いくらいで、 かろうじて歌い方で誰かを判断するしかないよ…

『長崎の鐘』 藤山一郎 ~ わずかに差す光明を、瞬時に覆い尽くす闇

…ように出て来るそばから皆で食い尽くし、物欲しそうにお代わりを待つ(だれも口に出して催促はしないのだが、試食コーナーの前に立ち尽くす無言の圧力により、しぶしぶお代わりが登場する)など、行く先々で迷惑をまき散らし、 バスの中でも散々ふざけあっていた、我らバカ高校生一同だったが、資料館を後にした車内の、重苦しい空気と言ったらなかった。 それまでの騒々しさが嘘のように、誰も一言もしゃべらないんだもの。 罰当たり連中にトドメを刺すように、ガイドさんが哀しく美しい歌を歌ってくれた。 知ら…

『誰か故郷を想はざる』 霧島昇 ~ まるで縦横無尽の格ゲーコマンド

…お笑い番組を片っ端からカセットテープに録音し、ダブルカセットのラジカセ*3を駆使してCMや前振りなどの余計な部分をカットして寄せ集めた”漫才集”を何本も作成して、ラジカセやヘッドホンステレオ*4で楽しんでいた。 いまでもこのころの漫才ネタをソラでいえるほど当時聴きこんでいたのだが、つい先日おぼん・こぼんの漫才を久しぶりにテレビで見たとき、当時と全く変わらぬネタをやっているのを見て驚愕した。世代を超えて残る名曲たちの他にも、世紀をまたいでも変わらぬものがここにもあったか。 話が…

日本百名曲 -20世紀篇- ~ はじめに。

…フィールはほとんど知らずに、 つまりは“思い出フィルター5割増し”、のようなひいき目を持たず、 楽曲そのものの持つ魅力を 公平に見れているのではないかと思う。 いつのことだったろう、かれこれ20年くらい前*2だと記憶しているが 深田久弥*3の「日本百名山」に触発されて 「日本百名曲」を選定してみようと思い立った。 ちょうど、インターネットというものが伸び始めた時期で レンタルサーバー*4でホームページを作成して 何曲か紹介を載せはじめたが、 次第に更新も疎遠になり辞めてしまっ…